龍が如く7

 去年からプレイしていて、中盤付近でしばらく他のゲームに浮気して、けっきょく年始にようやっとクリアした。大好きな横浜の街を歩くのが楽しくて寄り道しまくったせいで何だかんだ65時間くらいかかった。

 システム面ではいろいろ不満があるけどそれを許容できるくらいストーリーが良かった。初手で最高傑作を引いてしまったと思った0の次に好き。0の次としているのは、最初から最後までノンストップで駆け抜けた0と異なり他のゲームに長期間浮気する程度の中弛みはあったから。

 でも主人公交代としてはかなり綺麗かつ説得力のある例だと思う。春日が(龍が如く界隈では)レスバ強すぎて、いかに桐生さんが振るわなくてもいい暴力を振るって来たかを実感してしまった。ただそこも含めて、「極道は暴力がすべて」という時代は終わりを迎えていることの示唆と捉えられるくらい、春日の桐生との差別化&キャラデザインが良かった(桐生さんは暴力を是としているわけではなく、シンプルに口下手なだけ)。

 春日のキャラデザインも相まって、龍が如く4-6あたりで拭い切れなくなってきたシナリオの瑕疵や限界に、非常に自覚的なつくりになっている気がする。極道の社会的地位も含めてアップデートされている。春日には桐生のようなカリスマ性はないけれど、無用な争いを回避するための弁が立つし、仲間を増やすためのコミュニケーション能力がある。中の人と龍魚の刺青のせいで「錦の成功例」を見ているようで少し切なくなる。

 春日と真斗を「兄弟」とする枠組みがちょっと変化球で、それが判明するくだりが個人的にサビだった。いささかご都合主義な偶然ではあるけど、疑似家族を肯定すると言う意味で「血縁かどうかは大したことじゃない」というのを、ヤクザものとして改めて打ち出すのが良かった。

 システムについて。アクションが苦手な層を救済するためのコマンドバトル化なのかなと思ったら、少なくともイージーモードのアクションバトルよりは難しいor面倒臭いバトルシステムだった。龍が如くとしては初めてのコマンドバトルだからいろいろ手探りなのは分かるけど、子会社アトラスのペルソナチームからノウハウを吸い出すとかできなかったんか? ストーリーでモチベートされない人は挫折してしまうと思う。

 個人的には、ジョブチェンジが横浜のハロワでしかできないのが不満だったな……ジョブチェンがハロワでできるってこと自体は面白いしシステムを世界観に落とし込もうとする努力は大好きなんだけど、いろんなジョブを試したいのにハロワに一旦行くっていうアクションがファストパス有でも億劫で、結局あまりジョブチェンせずにクリアしちゃった。ドラクエリスペクトなのだろうけど、たとえば何らかの基準でマスターした職種はいつでも変更可能になるとかの措置が欲しかったな。あと、いちばんレベリングし易い環境が蒼天堀にあるから、せめてハロワ蒼天堀支部が欲しかった。大阪にもハロワはあるだろ。

 アクション苦手なんだけど、7をプレイして、アクションでしか表現できない暴力/得られない快感があるんだな……と、初めてアクションが恋しくなる体験をした。途中で一旦0を起動して真島で暴れに行ったもんね。

 とまあ、システム面は苦言を呈してしまったけど、総合は満足。桐生さんで主人公をやり続けることの限界を感じていたから、綺麗に世代交代をやり遂げてくれて良かった。あとラストバトルに関しては0より好き……二戦目の入りで泣いてしまった……ゲーム的な強さは歴代最弱なのに、この戦いを終わらせたくない……という気持ちで戦っていた。春日のジョブがフリーター固定になるのもいいよね……まっさらな、どん底の春日一番として、拳ひとつで戦うのが……

 春日、頼れる仲間は多いけど、一作目にして桐生さんと良い勝負なペースで大切な人を亡くしているから、幸せになってほしい。仲間がいて良かった。ずっと横浜でワチャワチャしててよ……8で不遇な目に遭わないといいな……